今まで住んできた中で、ナンバーワンの団地です

今回の住み団さんは、仁川団地にお住まいの武田重昭さんです。幼い頃より6つの団地を渡り歩いた武田さんによれば、仁川団地はいままで住んだ中でナンバーワンの団地なのだとか。ご自宅のあるスターハウスの中で仁川団地とその住み心地についてお話をうかがいました。(2012年10月)
[注]仁川団地は現在入居募集停止中です。
仁川団地に住み始めたわけ

武田さんは子供のころから団地暮らしだそうですね。

学生時代を除けば団地にしか住んだことがないです。今まで野寄団地、百草団地、神代団地、レーベンスガルテン山崎、サンヴァリエ西田辺そして仁川団地に住みました。

団地エリートですね(笑)。団地経験豊富な武田さんが、この団地を選んだポイントはなんだったのですか?

レトロな感じがいいと思って、この団地のスターハウスを選びました。URの窓口では、(すごく古いけど)仁川団地でいいんですかと言われましたけどね(笑)。


仁川団地は、いままで住んだ6団地の中で何番目にいい団地ですか?

一番です!

やはり(笑)。

今津線沿線自体、雰囲気のいいところです。弁天池とか仁川の住宅街とか歩いていて気持ちがいいですよ。団地の中は見渡す限りの緑で、夜は虫の声がよく聞こえますし朝は鳥の声で目が覚めます。近場にこれだけの緑があるというのは、満点に値するかなと。

それは子育て環境としてよさそうですね。

上の階に子連れの家族が住んでいて、目の前の公園でよく遊んでいます。親の目の届くところに公園があるというのは子育て環境としてすばらしい。公園のブランコと団地のベランダで会話ができるあの感じはすごくいいです。

部屋の住み心地

部屋の住み心地はいかがですか?

最高です!建物の周りぐるりの景色を独り占めできるのが、スターハウスのいいところですね。いままで住んでいた団地の中でもずば抜けてリッチな感じがします。窓が多い分夏暑いとか、お隣同士お互いがよく見えたりしますがこの気持ちよさには変えられないです。

サッシは木製でとてもいい雰囲気ですが、台風や冬の寒さはどうですか?

台風の時にちょうど沖縄に行っていて、しかも鍵かけ忘れて行ったんですけど(笑)室内は無事でした。まだ、この団地で冬は迎えてないのでそれは怖いです(笑)。

水周りなど設備はどうですか?

特に困っていることはないです。お風呂がボロかったら困るなと思っていたのですが、前の家よりいいんじゃないと思うくらい新しいものが備えられていました。
洗濯機置き場も最初困りましたけど、風呂場に置けばなんとかなりました。古い建物なので不安を感じながら入居したけど、住み始めてみると現代の生活にもマッチするレトロ感だと気がつきました。

住んでみてわかった団地のよいところ

よく団地とマンションはどこが違うのですかと聞かれることがあります。仁川団地に住んでみてどこが違うと思われますか?

スケール感が違いますね。ヒューマンスケールで住みやすい感じがします。共用でも庭が身近にある団地はリッチだと思いますし、住んでいて安心です。マンションではそれがないような気がします。

団地以外のところに住みたいと思ったことはありますか?

一戸建ても住んでみたいと思ったことはありましたが、最近一生賃貸でもいいかなと思っていて、それならば団地が魅力的だなと思います。
戦後の住宅施策の中でどういう風に集住環境を考えるということの最先端が団地でした。当時ほど集まって住むことを真剣に考えた時代はないのではないかと思います。日本で最高の水準に計画された家に住めるということは、すごく贅沢なことではないかなと思います。

仁川団地はその際たるものですね。スターハウスもその一つですからね。

そこに少しだけ手を加えて、今のライフスタイルに合うようにさえしてやれば、現代にも通用する住まいになる。しかもそれが安く便利なとこにあるとなれば、団地に住まないわけはないですよ。

団地に住もうと思っている人へのメッセージ

これから団地に住もうと思っている方々にアドバイスをお願いします。

団地が持っているスケール感や、コミュニティの濃さが初めての人には壁を感じるかもしれませんね。ぼくでもここに始めてきたときは感じました(笑)。住むまでは排他感があるかもしれないけど、住んでそのコミュニティの中に入ってしまば「住めば都」だと思います。

最後に、団地に住もうかどうかと迷っている人の背中をドンと押す一言をお願いします。

新しいマンションだと誰も住んだことがないので何が起こるかわからないけど、団地には長年にわたり住んできた人がいるという安心感があります。
仁川団地は、団地の入り口から家に向かう道が、ループを描いて上がっていく感じがいいんですね。住み始めてまだ半年ですけど「帰ってきたな」という感じがあります。「地球で一番好きな道は帰り道です」というCMがかつてありましたけど、団地に、土地に住んでいる感じ、根ざしている感じがあるんじゃないかと思います。

ありがとうございました。
レーダーチャート
お話を伺ったのは、武田重昭さん(37歳、博物館研究員)。
仁川団地をレーダーチャートで評価していただきました。
