リペアしきれない傷みのある場所は、「団地らしさ」を重視して新しい要素を加えました。アンティークなチェックガラス、アイボリー樹脂製のスイッチプレート、鉄の重みがしっくりとなじむ把手など。その一方、不便を感じることがないように改装した部分も数多くあります。特に水まわりのつくりは時代とともに大きく変わりました。洗濯機置場の増設、脱衣所の仕切り、シンプルな洗面台など、現代のくらし方にマッチするよう十分に検討しています。

混合水栓シングルレバー混合水栓

この団地が出来た頃は、お湯と水が同時に出てくる「シングルレバー水栓」はまだありませんでした。今では当たり前になっている仕組みなので、新しいものに置き換えました。ただ、ちょっとレトロなデザインを選ぶのは忘れません。

 

 

ゆか無垢のフローリング

無垢のフローリングは、今でこそ高級な仕上げですが、合板で出来た安価なシステムフローリングが世間に出回るまでは、ごくありふれた建材でした。そこで、今回のリペアでは、無垢材に入れかえることにしました。足で歩いた時の足ざわりのやさしさは格別。普段の手入れは乾拭きで十分。多少の凹みも傷も表面を削れば簡単に補修できます。使い込めば使い込むほど味が出てくるのも無垢材のよいところです。

タイル浴室のタイル

浴室のタイルは傷みが激しくそのまま使えるものではありませんでした。もとは10cm角のタイルでしたが、小さくかわいらしいタイルで貼り替えました。ちょっとレトロで、滑りにくい浴室ができました。

とって1把手

把手は家の中で一番多く触れる場所ですので、質感にはこだわりました。しっかりとした重みとつかみ心地のよいものを中心に、古いものとあたらしいものがまじりあっても違和感がないように選んでいます。

スイッチコンセント・スイッチ

毎日手で触れ、つねに視界に入るものだからこそ、スイッチはインテリアに馴染むものを探しました。40年前のデザインに近い、輸入物のスイッチを見つけた時は「これでこのリペアはバッチリだ」と思うほど。”カチッ”と鳴る手応えも格別です。