団地不動産をはじめたきっかけ

吉永近影

わたくし吉永は、2006年に民間分譲団地のリノベーション依頼を受けました。1980年代に建築を学んだわたしは、「団地はコンクリートジャングルであり、鉄の玄関扉をガチャンと閉めると住民同士のコミュニケーションはなく、人間が健康的に住む場所ではない」と教わり、以来ずっとそのイメージを持ち続けていました。

折りしもメディアでは孤独死や高齢化が報じられていた時期。団地に対してネガティブな印象を持っていたわたしが、実際に団地で目の当たりにしたのは、これまでのイメージとは全く逆の風景でした。

数十年の年月を経た豊かな緑に覆われ、まるで森の中のように静かで安らぐ環境。公園ではこどもがきゃっきゃと遊び、ご近所同士が挨拶を交わしている。そこには人々が毎日快適に住むことができる、当たり前の環境がありました。昨今の高層マンションや戸建て住宅地には、この「当たり前」の環境がすでに失われているのではないか、実は団地にこそ、豊かな環境が残されているのではないかと思うようになりました。

建物や植栽などのメンテナンスもしっかりしているし、専用のバス路線があるなど交通の便も意外と良く、住むためのロケーションとしては申し分がなく、建設後数十年が経過した団地は、時代が一巡したおかげですてきなレトロ感を漂わせ始めているように感じました。それでいて、結構手ごろな金額で住み始めることができます。

そういった理由で『手ごろな値段で、交通の便が良い、緑に囲まれた環境でコンパクトに暮らしたい!』という方々にとって、団地はまさにぴったりでの存在でははないかと思うようになりました。また分譲であれば、ちょいとお金をかけてリノベーションしてやれば、建売住宅を買うより安くてリッチでおしゃれで便利で快適な住まいを手に入れることができるのではないか、と。

そこで、団地が優れた住環境であることを前提にした不動産サイトを立ち上げることにしました。団地に住みたいと思っている方々が、ご自身にフィットした団地へ住むお手伝いができればうれしく思います。

吉永健一

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吉永建築デザインスタジオ
長岡京の団地SOHO